Rehapoli|介護ヘルスケア業界の政策提言ブログ

「エビデンスに基づいた自立支援介護」の社会実装に向けて様々な取り組みや見解、科学研究により新たに創出されたエビデンス等を、積極的に分かりやすく発信していきます。

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最近の記事

識者に訊く- 明日のデイサービス経営を考える。

 2024年1月22日、社会保障審議会 介護給付費分科会(厚生労働大臣の諮問機関)において令和6年度介護報酬改定案が審議され、了承された。今後3年間の介護保険サービスの方向性を決定づける分科会の議論をリードしてきた一人が、民間介護事業推進委員会の代表委員を務める稲葉 雅之氏(伊豆介護センター 代表取締役)である。  介護保険制度の本格施行の迫る1996年、稲葉氏は伊豆介護センターを設立し、今日までに9ヶ所の通所介護事業所(デイサービス)を含む13施設、300名の従業員を擁する

    • 識者に訊く- なぜ、日本の介護DXは進まないのか。

       2022年の年の瀬が押し迫るなか、厚生労働省社会保障審議会において「介護保険制度の見直しに関する意見」がとりまとめられた。ケアプラン作成におけるAIの活用について、その実用化に向けた研究を進めていく方針を明記した。  厚生労働省によるケアプラン作成支援AIの研究に当初より深く関与してきたのが石山麗子 教授(国際医療福祉大学)である。2016年より厚生労働省専門官として議論をリードするとともに、退官後も研究者の立場から「ホワイトボックス型 AI を活用したケアプランの社会実装

      • 識者に訊く-介護の担い手不足、その「解」を探る

         2023年2月、肌寒さの残る中で、9日間に渡り、全国各地の介護関係者が集い、災害対応から働き方改革、デジタル活用のあり方に至るまで、幅広いテーマで議論を交わすハイブリッドイベントが開催された。介護の認識を変える一週間、と銘打たれたイベントの名称は「KAiGO PRiDE WEEK」- 介護に関わる各分野の専門家、10を超える都道府県の介護職、海外からはデンマークの介護関係者が参加したこのイベントを推進したのが石本淳也氏(熊本県介護福祉士会 会長・日本介護福祉士会 前会長)で

        • 識者に訊く「介護DX」 - フィンランドが描く、高齢者ケアの未来

           フィンランドの首都、ヘルシンキ市-人口64万人のこの街は、介護DXの先進都市としても知られる。急速な少子高齢化に直面するフィンランド最大の都市による取り組みから、日本が参考にできることは何か。フィンランドにおける介護DXの取り組みに早くから注目し、ヘルシンキ市の取り組みについて調査を進めてきた千葉商科大学の齋藤香里 教授に聞いた。 (聞き手は Rehapoli編集長、村田) ■ ヘルシンキ市、「介護DX」を促した自然環境 - 先生は、経済学の視点から介護をテーマとした研

          父の死に思う当事者目線。鎌倉市長が目指す75歳を超えても元気でいられる町

           高齢化が進む鎌倉市の今泉台地域で今、日本初となる取り組みが行われている。プロジェクト名は「鎌倉リビングラボ(Living Lab)」。住民が主体となり、生活を豊かにするサービスやモノを生みだし、あるいは改善していく試みだ。今泉台地域では、企業が商品やサービスの開発を行うプロセスの初期段階に住民が参加し、大学、行政などとアイディアを持ち寄って、具体的なサービスを実際に育てている。世界では、欧州を中心に約400カ所でリビングラボが展開されている。  高齢化に加え、駅からのアクセ

          父の死に思う当事者目線。鎌倉市長が目指す75歳を超えても元気でいられる町

          牧島かれん元大臣が語る、「介護DX」への挑戦

           超高齢社会を迎えた日本において、介護保険サービスを持続可能なものとしていくには、生産性の向上を推し進めていく必要がある。そのキーとなるのが介護現場におけるDXの推進、ICTの利活用だ。  岸田内閣においてデジタル/規制改革担当大臣として介護DXに取り組んだのが牧島かれん衆議院議員である。  就任に際して「医療や介護、教育といった国民にとって身近な分野での改革を進めたい」と語った牧島議員は、在任中、介護DXの推進に向けて、人員配置基準の見直しや、介護事業所の文書負担の軽減の議

          牧島かれん元大臣が語る、「介護DX」への挑戦

          Rehapoli Evidence Review. 05: オンライン介護、その効果を探る(2)

          1)「心不全」と生活期リハビリテーション 滋賀医科大学の小島等は、高齢化の進展により、慢性心不全などの内部障害を抱える高齢者の増加が予測されることから、その在宅療養の環境整備の重要性を指摘しつつ、以下のように論じています。 「医療施設での治療を終えて在宅で療養する高齢者の中には、慢性の心不全(略)などの内部障害を持ちながら、通所介護、通所リハビリ施設を利用する方も今後ますます増加していくことが考えられる」 心不全等の疾患では、機能訓練(運動療法)が身体機能の改善をもたら

          Rehapoli Evidence Review. 05: オンライン介護、その効果を探る(2)

          Rehapoli Evidence Review. 04: 社会保障財政と機能訓練(1)

          高齢化の進展に伴い、認知症あるいはフレイル - 身体的虚弱 - を患う人々を支えていくための社会的・経済的コストは急速に膨張していくことが予測されています。    例えば、東京大学の橋本英樹教授は、マイクロシミュレーションの結果をもとに、以下のような将来予測を示しています。 教育水準の向上等を背景とし、リスク要因が減少することにより、認知症の患者数は2016年の約510万人から2043年にはおよそ465万人にまで減少 認知症については、2016年より2043年にかけて、男

          Rehapoli Evidence Review. 04: 社会保障財政と機能訓練(1)

          Rehapoli Evidence Review. 03: オンライン介護、その効果を探る(1)

          オンライン介護という選択 -「要介護者1000万人時代」を視野に -  今、介護の世界においてもオンライン化の動きが加速しています。  例えば、フィンランドのヘルシンキ市では、高齢者への服薬指導や体調不良時の相談、食事会や運動プログラム等がオンラインにより提供される遠隔介護サービスが導入されており、850名あまりの方々が利用しているとされています。この他、ヘルシンキでは電話により体調不良時の相談等を行うサービスも併せて実施しており、遠隔介護の取組に力を入れています。これら

          Rehapoli Evidence Review. 03: オンライン介護、その効果を探る(1)

          Rehapoli Evidence Review. 02: 機能訓練による認知症予防(1)

           長く人生を楽しみ、年を重ねれば重ねるほど、認知症と向き合わなければならない可能性が高まっていく現実を、データは物語っています。    現在、65歳以上の約16%が認知症であると推計されていますが、80歳代の後半になると男性の35%、女性の44%、95歳を過ぎると男性の51%、女性では84%が認知症と共に生きることを余儀なくされている現状が明らかにされています。  オックスフォード大学のSarah Lamb 等の研究では、軽度から中等度の認知症患者を対象に、通常のケアに加え

          Rehapoli Evidence Review. 02: 機能訓練による認知症予防(1)

          Rehapoli Evidence Review 01:口腔機能の回復に必要な視点(1)

          はじめに:Rehapoli Evidence Review とは  「買い物にいきたい」、「カフェでコーヒーが飲みたい」、「友人とグランドゴルフを楽しみしたい」、「新たな習い事に挑戦したい」・・・  年を重ねても、自分の願いを自分で叶えることのできる生活を続けたい。  家族に迷惑をかけることなく、自分の力で、日々を穏やかに過ごしたい。  多くの年を重ねた方々が、そのような願いを抱いて生活をしています。    「エビデンスに基づく自立支援介護」の確立と普及は、このような高齢者

          Rehapoli Evidence Review 01:口腔機能の回復に必要な視点(1)

          日本のリハビリテーション業界を牽引する参議院議員 小川克巳、理学療法士歴50年の男が描く日本の介護リハビリテーションの未来とは

          科学的介護や自立支援介護を筆頭に、絶え間なく変化する介護業界において、国民の「健康寿命」の延伸を図るためには、「エビデンスに基づく自立支援介護」の確立と普及は極めて重要と考えられている。リハビリテーションや介護はその変化に対応する力が求められている中で、私たちがどのように考え、行動すべきかについて小川氏に伺った。 取材・文:大久保亮 撮影 : 佐藤雄治 ——まず小川先生がリハビリテーション専門職を志したきっかけについて教えてください。 小川氏 私が「リハビリテーション」の

          日本のリハビリテーション業界を牽引する参議院議員 小川克巳、理学療法士歴50年の男が描く日本の介護リハビリテーションの未来とは

          介護リハビリテックのRehab、政策提言ブログ「Rehapoli」を開設

          株式会社Rehab for JAPAN - AgingTech 総研は、「エビデンスに基づく自立支援介護」に関わる情報の発信、議論の政策提言ブログとして「Rehapoli」を本日2021年12月6日に開設いたしました。  1984年に世界保健機関(WHO)は“The uses of epidemiology in the study of the elderly”において、以下の報告を出しました。 「死亡率や罹患率は高齢者の健康指標として既に有用ではなく、(略)“生活機能

          介護リハビリテックのRehab、政策提言ブログ「Rehapoli」を開設