介護リハビリテックのRehab、政策提言ブログ「Rehapoli」を開設
株式会社Rehab for JAPAN - AgingTech 総研は、「エビデンスに基づく自立支援介護」に関わる情報の発信、議論の政策提言ブログとして「Rehapoli」を本日2021年12月6日に開設いたしました。
1984年に世界保健機関(WHO)は“The uses of epidemiology in the study of the elderly”において、以下の報告を出しました。
「死亡率や罹患率は高齢者の健康指標として既に有用ではなく、(略)“生活機能”こそ、最も有用である」
この報告書が示されてからおよそ40年が経ったいま、日本では、高齢者が「生活をする力(生活機能)」を保ちながら人生を送ることのできる時間 - いわゆる「健康寿命」- をどうすれば1日でも長く送ることができるのか、高齢者の医療や介護に関わるステークホルダーである私たちには、高齢者の「生活をする力」の保持をどのように支え、応援していけば良いのか、そのあり方が問われています。
この問いに最も大きな不安を感じ、「解」を求めているのが、高齢者たち自身-私たちの父や母、あるいは祖父、祖母かもしれません- です。
2014年に国が60歳以上の高齢者に実施した調査では、「将来の日常生活への不安」について、およそ67%の回答者が「自分や配偶者の健康や病気のこと」、60%が「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」を挙げています。
「健康で、周囲に迷惑をかけることなく、自分の力で日常を生きたい」
- そこに日本の高齢者の多くの願いがあると私たちは感じています。
このような状況の中で、私たちに求められていることは何でしょうか。
それは、高齢者の抱えているこの「不安」、この「痛み」を和らげる方法、つまりは「エビデンスに基づく自立支援介護」の手法を確立し、その社会実装を進めていくことにあると、私たちは思っています。
すでに、日本の介護制度は2017年の介護報酬改定から「自立支援介護」と「科学的介護(エビデンスに基づく介護)」の推進に重点を置いたものに変わってきています。
その前年、2016年には安部晋三 内閣総理大臣(当時)が
「パラダイムシフトを起こす、介護がいらない状態までの回復をめざす」
と述べ、健康寿命の延伸に貢献する「自立支援介護」への強い期待を示しました。
しかし、現時点では「自立支援介護」、「科学的介護(エビデンスに基づく介護)」によって高齢者の「元気な時間(健康寿命)」を延ばしていくことには、大きな課題が残されています。
ひとつは「自立支援介護」の効果について、科学的な方法により確認されたエビデンス(証拠)がそもそも乏しいこと、もうひとつは高齢者の「自立支援」に貢献した事業者が介護報酬の面で報われる仕組みになっていないことです。
「Rehapoli」では、このような視点に立ち、「エビデンスに基づく自立支援介護」の実現に努力をしている様々な関係者の取り組みや意見、新たに創出されたエビデンス等を、積極的に発信していきます。
皆さんとの双方向のコミュニケーションを通して、明日の介護のカタチをデザインし、その実現に貢献したい - 「Rehapoli」はそのような願いを込めて、情報を届けて参ります。
2021年12月6日
Aging Tech総研 代表 大久保 亮